自宅でできる“外反母趾”を予防する3つの裏ワザ

ボディケア
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外反母趾とは?

足の親指が人差し指のほうへ「くの字」に曲がってしまう外反母趾。女性のなかには「私、ひょっとして外反母趾かも?」と思ったことのある人も多いでしょう。放っておくと親指の付け根の関節部分にバニオンと呼ばれる“たこ”ができ、靴などに当たって痛くなります。

悪化すると、曲がった関節部分が炎症を起こして、靴を履いていなくても痛みを感じてしまうことも。さらに進行すると親指で体重を支えられなくなるため歩くのが困難になり、日常生活に支障が出るほどになってしまいます。

足は身体のなかで唯一地面に接する重要な部分。日常的に体重を受け止めなくてはならないうえに、20個以上の骨と30か所以上の関節を含む複雑な構造をもつデリケートな器官なのです。
外反母趾はハイヒールを履く女性がなる疾患と思われがちですが、子どもや男性もなる場合があります。

軽いものなら自宅で改善できますが、重度になると治療に時間もお金もがかかります。できれば痛くなる前に予防したいですね。ここでは外反母趾の主な症状と、自宅でできる予防法をご紹介します。

あまり知られていない外反母趾の恐ろしさ

現代人にとってポピュラーな外反母趾ですが、痛みを我慢して放っておくと歩くたびに負荷がかかり、足の変形が進んでしまいます。足の構造が崩れることで、痛みだけでなく以下の症状が出てくることもあるので注意が必要です。

・巻き爪になる
体重が爪の側面にかかり、親指が巻き爪になる。巻き爪部分の炎症がひどくなると手術が必要になることも。

・足の裏全体が痛くなる
親指で地面を蹴る力が弱くなり足裏全体に負荷がかかることで、足裏の皮膚が硬くなり痛む。

・人差し指が脱臼する
人差し指が親指に圧迫されることによって脱臼する。

・脚の長さが変わる
足の変形と痛みによって全身のバランスが崩れ、骨盤がずれるなどして脚の長さが変わる。

・腰痛になる
全身のバランスが崩れることで腰痛になりやすくなる。高齢になってから発症することも。

・骨粗しょう症や生活習慣病のリスクがある
足の痛みによって運動量が減ることから、各種の生活習慣病にかかりやすくなる。

このように外反母趾は痛いだけでなく、骨や全身にまで悪影響を及ぼすこともある恐ろしい疾患です。重度の外反母趾は手術で治すこともできますが、術後の痛みや麻酔のリスクを伴います。しかも、たとえ手術をしても以前のようにハイヒールを履いて闊歩できるようになるのは少数といわれています。外反母趾は予防し、悪化させないことが重要なのです。

外反母趾の原因

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外反母趾の原因は「靴」「遺伝、体質」「関節リウマチの合併症」などがあります。なかでも生活環境上の大きな原因は、足に合わない靴を履くことでしょう。

つま先が細くなった靴を長時間履くと、親指が圧迫されて内側に曲がってきてしまいます。さらにヒールの高い靴では、足の先に体重がかかることで親指の付け根に負荷がかかり、足の構造が崩れて外反母趾を悪化させることになります。

また、幅の広すぎる靴を履いても、足に無理な力がかかって外反母趾の原因になるといいます。足に痛みのある場合は、日ごろ履いている靴を見なおしてみてはいかがでしょうか。

外反母趾セルフチェック

足の親指の付け根が赤く腫れている、靴が当たると痛いなどの症状があれば、もしかしたら外反母趾かもしれません。立ったときに足の爪が全て上を向いているのが正常な状態ですが、外反母趾の場合は足の構造が変わってしまうため、親指の爪が横を向いていることもあります。

ここでは自宅で簡単にチェックする方法をご紹介します。準備するものは30cmくらいの定規と鉛筆と分度器です。

1.白い紙を平らな床に置く
2.紙の上に立ち、前に体重をかけた状態のまま、定規と鉛筆を持つ
3.そのままの姿勢で足の内側に定規を当て、親指の付け根と踵の内側を結ぶ線を描く
4.次にそのままの姿勢で、親指の付け根と親指の内側を結ぶ線を描く
5.2本の線の角度を測る

これで親指の曲がっている角度(外反母趾角)が、おおまかに測れます。整形外科学会のガイドラインでは、この角度が20度以上になると外反母趾と定義しています。20~30度であれば軽度、30~40度は中等度、40度以上は重度外反母趾となります。

なお、角度が小さくても痛みを感じる場合や、角度が大きくても痛みをほとんど感じない場合もあります。実際の診察では足全体の構造などもレントゲンで確認されるので、外反母趾角が20度未満でも気になることがあれば整形外科を受診すると安心でしょう。

外反母趾のタイプ

外反母趾は、その形状や原因によって主に5つのタイプに分かれるといわれています。

1.靭帯性外反母趾
足の靭帯が緩むことによって足の構造が崩れ、親指が曲がる外反母趾。

2.仮骨性外反母趾
親指の付け根の骨が発達し、内側に突出する外反母趾。外反母趾角は小さいが痛みが大きいケースが多い。

3.混合性外反母趾
靭帯性と仮骨性が混在する外反母趾。

4.ハンマートウ性外反母趾
足指が曲がった状態で固定されてしまった外反母趾。

5.病変性外反母趾
リウマチなどの病気ややケガによって発症する外反母趾。

予防法1:ストレッチ・トレーニング

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外反母趾を予防するには、足裏や足指の筋力をつけ、足指が柔軟に動くようにすることが大切です。ここでは自宅で手軽にできるストレッチやトレーニング方法をいくつかご紹介します。

<指の間のストレッチ>
足の指と指の間を広げるように、手でマッサージします。親指を外側に広げる動きは外反母趾予防に有効なので、親指と人差し指の間は骨に沿って甲の部分まで行いましょう。硬くなった筋肉をほぐす気持ちでやさしく行うのがポイントです。

<足指じゃんけん>
足の指を使って、グー・チョキ・パーの動作をします。足の筋力アップと足指の柔軟性を高めるのに役立ちます。できるだけ大きく動かしましょう。

<足指でビー玉つかみ>
足の指を色々な方向に動かすためのトレーニングです。ビー玉を足指で掴んで放す動作を繰り返します。ビー玉でなくても構いませんが、親指と人差し指でつかめるくらいの大きさの物がよいでしょう。

<タオルつかみ>
床や椅子に座った状態で、足元にタオルを置き、足の指を使ってタオルをたぐり寄せる運動です。タオルの手前の端から奥の端まで少しずつギャザーを寄せるように、タオルをたぐり寄せていきましょう。

<足と手で握手>
床や椅子に座った状態で、足の指の間に手の指を入れて軽く握ります。その足を内側と外側にゆっくりと反らしたり、足首を回すように動かしたりします。足の裏が気持ちよく伸びる程度がよいでしょう。左足と右手、右足と左手を組ませるとやりやすくなります。

予防法2:足に合った靴・歩き方を見つけること

外反母趾を予防するには、足に合う靴を履くことと、足に負担をかけない歩き方をすることが大切です。靴選びのポイントと、健康的な歩き方についてご紹介します。

<靴選びのポイント>
外反母趾を予防するには、足に合った靴を履くことが大切です。最近では平面の足形だけでなく3Dの立体足形をとってくれる靴店もあります。足の疾患に詳しいシューフィッターがいる店で実際に履いてみるのが一番ですが、そのような店が近くにない場合は、以下のポイントを参考にして靴を探してみてください。

1.つま先部分に余裕があり、紐を締めて履いた状態ですべての指が動かせる靴
2.土踏まずの前後が緩くなく、しっかりと足にフィットする靴
3.紐または面ファスナーで留められ、足の甲を包む形の靴
4.踵をしっかり包み、支えてくれる靴
5.踵を靴にぴったり合わせて履いたとき、つま先に1cmほどの余裕ができる靴
6.ヒール部分の面積が広く、立ったときや歩いたときに安定感のある靴

実際に靴を履いてみて上記のポイントを確認したら、しばらく店内を歩き回ってみましょう。2~3m歩くだけでなく、少なくとも数分間は履いたままで動いてみてください。数分間の歩行で違和感があるようなら日常生活で使える靴ではありません。店員さんへの遠慮もあるかもしれませんが、足の健康のためにしっかりチェックしましょう。

また、ひと口に“足に合った靴”といっても感じ方は人それぞれです。“ぴったりフィットしている”と感じても、足指が固定されてしまったり、足の甲や踵に靴が食い込んでしまったりするのは足に合っている靴とはいえません。簡単に表現するなら「つま先はゆったり、土踏まずの前後はぴったり、甲と踵はしっかり」という感じでしょうか。

外反母趾の場合、靴に当たるのが痛いからと幅の広い靴やスニーカーを選びたくなりますが、足に対して幅が広すぎる靴を履くと足の靭帯に悪影響を与え、外反母趾を進行させる原因になるので気をつけましょう。

どうしても足に合う靴が見つからない場合は、外反母趾用のインソール(中敷き・足底挿板)を利用するのもよいでしょう。オーダーメイドの中敷きを作れる店もあります。インソールは外反母趾に対応したしっかりと厚みのあるものを選びましょう。

<歩き方のポイント>
外反母趾の人には、いわゆる“ペタペタ歩き”“ペンギン歩き”と呼ばれる歩き方が多く見られます。これは、足を1歩踏み出すときに踵とつま先が同時の着地するような歩き方。ヒールの高い靴を履くと、踵が安定しないのでこの歩き方になってしまうことが多いようです。

このように歩くと、体重がしっかりとつま先に伝わらず、足指で地面を蹴り出すことができません。歩くときは、踵から着地し、踵からつま先へと体重を移動させて、つま先で地面を押し出すようにしましょう。最初はうまくいかないかもしれませんが、「踵から着地」「姿勢をよくする」ことを意識すると、しっかりと踏み込んだ歩き方ができるでしょう。もちろん、歩くときは足に合った歩きやすい靴を履くのを忘れずに。

予防法3:運動不足を解消する

外反母趾は、足の構造が崩れることによって起こります。足の構造が崩れる主な原因のひとつに、筋力の低下が挙げられます。加齢や運動不足によって足裏の筋肉が弱ると、体重を支える足の構造を保持できなくなり、外反母趾を引き起こします。足を使った運動をすることで足裏の筋力を鍛え、外反母趾を予防しましょう。

<準備体操>
足裏の筋肉を鍛えるには、まず「予防法1」でご紹介したストレッチやトレーニングから始めるのがよいでしょう。足指を開くことや足の関節を柔らかくすることは筋力トレーニングのウォーミングアップになります。マッサージやストレッチで、筋肉を温めてからトレーニングを始めましょう。

<足裏の筋肉トレーニング>
足と手を握手するように組み合わせた状態で足指を曲げてみると、足裏の筋肉が動くことが分かります。この状態で足指を曲げる力を強める/緩めることによって、足裏の筋力もアップしていきます。手指の代わりに、100円均一の店などで売っている“足指パッド”を使って足指の間隔を広げながらやってもよいでしょう。

ゴルフボールやピンポン玉などを足元の床に置いて、それを土踏まずの辺りで掴む動作も筋力アップに有効です。実際に掴むことはなかなか難しいですが、ボールを踏んだ状態で足裏全体を縮めて数秒間静止し、力を抜くという動作を繰り返します。
いずれのトレーニングも痛みが出ない程度に続けましょう。

外反母趾予防のおすすめグッズ

サポーターや靴下をはじめ、たくさんの外反母趾予防のグッズがあります。症状の程度や、好みの肌触りなどによって適したものを選びましょう。ただし足指の間を広げるグッズは、長時間使い続けるとかえって足に負担をかけることもあります。便利なグッズを正しく使って、つらい足の痛みを和らげたいですね。

<テーピングシール>
足の構造をしっかり支えるための、テープ形状のシール。足首から親指にかけてテーピングすることで足指を正しい位置に固定します。

<サポーター>
テーピングしたときのように足の骨格を正しい位置に戻すサポーター。自分でテーピングするのが難しい場合や、テーピングする時間がないときでも手軽に装着できるので便利です。

<エクササイズリング>
2つの小さなリングがベルトでつながっているエクササイズグッズ。両足の親指にそれぞれリングをはめて、引っ張り合うことで親指を外側に引き寄せます。

<足指パッド靴下>
親指と人差し指の間に間隔があくようにパッドが挿入されている靴下。履くだけで、親指を外側に寄せる運動が手軽にできます。

重い外反母趾は専門医へ

これまでご紹介したように、さまざまな便利グッズや外反母趾用の靴があり、軽い症状ならマッサージやトレーニングでよくなることもあります。しかし外反母趾と気付かずに放置してしまった場合や、病気やケガなどで進行した外反母趾もあり、自分で治すことが難しいことも少なくありません。

外反母趾専門の医療機関はまだまだ少ないですが、一般の整形外科でレントゲンなどにより診断、治療が可能です。早期に発見できればそれだけ早く治療できます。親指の付け根に腫れや痛みがある、巻き爪やたこができやすいなどの症状や違和感があれば、早めに近くの整形外科を受診することをおすすめします。正確な診断のもとで、自分に合った方法で健康な足を手に入れたいですね。

この記事の著者

ささやん

ささやん

大学卒業後、大手保険会社にてOL。結婚を機にフリーライターへ転身。ライフスタイル研究家として日々活動しています。おしゃれなことから、生活一般までなんでも聞いてください!生活の豆知識をたくさん知っていることが強みです。

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